第304章

加藤枝子の胸中に渦巻く怨嗟の念は一層深まっていたが、それでも彼のもとを去る勇気はなかった。

もし坂東勝との関係をこれ以上こじらせてしまえば、彼の心を再び繋ぎ止めることは至難の業となるだろう。

以前、坂東勝自身が豪語していた通り、今の彼の周りに女は事欠かない。美しく媚びを売るような女たちが、いくらでも彼に群がってくるはずだ。

万が一、誰かが坂東勝の心における自分の位置を奪ってしまったら、目的を達成することはさらに困難になる。

もっとも、坂東勝とて加藤枝子を意図的に邪険に扱っているわけではなかった。ただ、プロジェクトの案件を片付けることを最優先にしていただけなのだ。

坂東勝が水原拓真の...

ログインして続きを読む