第328章

あらかじめ対策を講じておかなければ、万が一の事態が起きた時に取り返しがつかない。

秘書のその懸念に満ちた表情を見て、水原拓真はしばし深い思索に沈んだ。やがて顔を上げると、重々しく頷く。

「お前の言うことにも一理ある。この件、無防備というわけにはいかないな。相手もただ者ではない、厳重な監視が必要だ」

「当面は人員を割いて吉野文詠を徹底的にマークしろ、決して気を抜くな。日時と場所が決まり次第、お前は先回りして配置につけ」

「万が一の事態が起きようとも、主導権は必ず俺たちが握るぞ」

秘書は恭しく頷き、水原拓真の命を遂行すべく身を翻した。

スマートフォンの画面を見つめながら、吉野文詠は思...

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