第337章

部屋には秘書と二人きりだった。黒川綾は、この秘書のことを比較的信頼している。

この秘書は水原雪乃が手塩にかけて育て上げた側近であり、雪乃に対して絶対的な忠誠を誓っている。黒川綾や水原雪乃を裏切るような真似は、決してしないはずだ。

憂いに沈む綾の横顔を見て、秘書は静かに口を開いた。

「奥様。この件について何かお考えがあるのなら、お聞かせください。私がお力になれるかもしれません」

綾が自身のデザインの盗作疑惑を調査するために出社することは、雪乃から事前に知らされていた。ここ最近の綾の献身的な働きぶりを、秘書もずっとその目で見てきたのだ。

綾の作品が彼女自身のオリジナルであることは間違い...

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