第347章

水原拓真の性格からして、目を覚ませば必ずこちらへ乗り込んでくるはずだ。

だが、白井弦羽に恐れる様子は微塵もなかった。むしろこの機会を利用し、水原拓真の感情を逆撫でするのが狙いなのだ。

水原拓真が怒りに身を任せてこそ、尻尾を出しやすくなるというもの。

惜しむらくは、吉野文詠という駒が当分使い物にならないことだ。せっかくの苦心が無駄になってしまった。

白井弦羽が物思いに沈んでいたその時、スマートフォンの着信音が鳴り響いた。

画面を一瞥した白井弦羽の口角が、自然と弧を描く。

どうやら推測通り、水原拓真は事態に気づき、真っ先に連絡してきたようだ。

通話ボタンをタップすると、すぐさま水原...

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