第360章

「しかし……」

黒川綾が何かを言いかけたが、それを遮るように水原拓真はさっさと横になってしまった。

しかも、背を向けて。

仕方なく、同じ布団に入るのをためらった綾は、クローゼットへ向かい、別の布団を引っ張り出した。

一人に一枚の布団。

輝星は水原拓真の隣で眠っている。

瞼が重く、欠伸が止まらない。頭の中は泥のように濁り、ただひたすらに眠りたかった。

横になると、すぐに深い眠りへと落ちていった。

暗闇の中、水原拓真はふいに目を見開く。片手で頭を支え、輝星越しに、すやすやと眠る綾を見つめた。

端正な顔立ち。眠りについたその頬は、まるで美味しそうな林檎のように赤く染まっている。

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