第369章

定時を迎えた。

黒川綾は水原拓真に電話をかけ、一緒に輝星を迎えに行かないかと尋ねようとしていた。

だが。

何度コールを鳴らしても、一向に電話に出る気配がない。

諦めかけたその時、不意にメッセージが届いた。

仕事の後に会食が入ったため、夕食は不要だという内容だった。

綾はわずかに落胆したものの、さして気にも留めず、車を走らせて学校へ輝星を迎えに行き、母子揃って帰路についた。

道中、幼い輝星はおしゃべりが止まらない。

「ママ、今日学校でお絵かきしたよ。見て、これ僕が描いたパパとママ、それから僕」

子供の描く絵は単純だが、そこには細やかな愛情が込められていた。

綾はそれを見て、...

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