第370章

室内。

真っ裸の二つの肉体が、ねっとりと絡み合っている。

その光景はひどく艶めかしいが、同時に吐き気を催すほどおぞましい。

――おぇ。

黒川綾は一瞥しただけで胃の中が激しく掻き回され、壁に手をついて危うく嘔吐しそうになった。

「あっ」

吉野文詠の甘ったるい喘ぎ声が突如として響く。彼女は今ようやく黒川綾の存在に気づいたかのように短く悲鳴を上げ、無意識を装って衣服を引き寄せると自身の体を隠し、同時に片手を水原拓真の唇に添えた。

その仕草は極めて淫靡で、まるで恋人同士の戯れのようだ。

頬を朱に染めた彼女は、この上なく媚びた声を出した。

「どうしてここに来たの?」

その声を聞いた...

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