第399章

音楽が唐突に鳴り止んだ。

男の荒い息遣いと、女の艶めかしい声がひどく鮮明に響き渡る。

林田安織は意味深長な視線をコーナーへと向け、踵を返してレストルームへと向かった。再び姿を現した彼女を見て、その場にいた者たちは感嘆の声を漏らさずにはいられなかった。

「お嬢様、さっきまでスポーツウェアだったのに、また着替えて。一体誰を誘惑する気だよ」

「お嬢様、誰を狙ってるのか早く教えてくれよ! 絶対モノにしてやるからさ。今日ここで初夜を迎えちゃいなよ」

周囲のからかいにも、林田安織は全く意に介さない。彼女の視線は遠くの一点に真っ直ぐ注がれていた。

彼女の視線を追った周囲の者たちは、一様に驚愕の...

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