第408章

水原雪乃は怒りで爆発しそうだった。平手打ちを食らわせようと肩へ腕を振り上げたが、水原拓真のあまりの重傷ぶりと蒼白な顔色を目にして、空中でピタリと手を止めた。

「もういいわ。あんた、頭がまともじゃないみたいだから、これ以上は言わない。安織、私たちは先に帰りましょう」

林田安織は胸の内に複雑な思いを抱えつつも、これ以上ここにいても恥をかくだけだと悟り、微笑んで頷いた。

水原雪乃と林田安織の二人が病室を去ると、室内は異様なまでの静寂に包まれた。

水原拓真は軽く咳払いをした。黒川綾の冷ややかな横顔を視界に捉えた瞬間、心臓を無数の針で刺されたような痛みが走る。彼は重い口をなんとか開き、かすれた...

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