第421章

視線が交差する。

黒川綾の心臓が、トクンと一拍跳ねた。

その深淵のような瞳に、まさか……あんなにも複雑な感情が宿るなんて。

不安なのだろうか?

この彼でも、不安になることがあるというのか。

うつむいたまま、極限まで入り組んだ感情を持て余し、彼女はくぐもった声で口を開く。

「私……」

「分かった。君の決定はすべて尊重する。でも、一つだけ伝えておきたい。俺はいつだって、君の味方だ」

長年連れ添い、互いのことを知り尽くしている。黒川綾の様子を見れば、拒絶しようとしていることなど手に取るように分かった。だからこそ、水原拓真は彼女の言葉を遮るように先んじて言ったのだ。

傍らで見ていた...

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