第478章

嘘つきめ。

口では甘い愛の言葉を囁いているというのに、その顔にはどこか嘲りの色が浮かんでいる。

水原拓真は伏し目がちに、恐る恐る彼女の腰に掌を添えた。

「なあ、続きをしよう? 俺……」

「嫌。疲れたからもう寝ましょう」

黒川綾は弾かれたように寝返りを打って彼の腕から逃れると、布団を頭まですっぽりと被って頑なに身を隠した。

水原拓真は肩を落とし、消え入りそうな声で呟いた。

「……わかった」

やがて、部屋の中に規則正しい寝息が響き始める。

窓から差し込む月明かり。

水原拓真は頬杖をつき、すぐ目の前にあるその横顔をじっと見つめていた。

かつて二人はこの世界で最も親密な存在であ...

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