第487章

車が舗装路を猛スピードで駆け抜けていく。

黒川綾はハンドルを握る手に、無意識のうちに力を込めていた。

助手席の輝星は押し黙っている。いつものようにぺちゃくちゃと喋る活発な様子は鳴りを潜め、代わりにうつむき加減で、何か重い悩みを抱え込んでいるようだった。

赤信号。

黒川綾は横を向き、その小さな頭を優しく撫でた。

「お話しして? どうしたの? なんでそんなに元気がないの」

ひどく落ち込んでいるように見える。何より、あの瞳から光が完全に失われていた。

医師からも、輝星のメンタルヘルスには十分注意するよう忠告されていた。

この年頃の子どもは、最も繊細で傷つきやすい。

常にその心に寄...

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