第397章

白井弦羽は、吉野文詠にとって一筋の光だった。

暗闇のような人生を照らし出す、希望の光。

しかし、その光はさらに深い闇だったのかもしれない。

吉野文詠を一つの深淵から、また別の深淵へと引きずり込むような――。

黒川綾は目頭が熱くなるのを感じ、ぐっと顔を上げて涙を引っ込めた。

自分自身すら惨めな境遇にあるのだ、他人に同情する資格などない。

彼女は再びソファに腰を下ろした。

「あなたが白井弦羽に対してどんな感情を抱いているかは分かりません。でも、これだけは言っておきます。この世界で、自分より優先すべき人間なんていないんです。まずは自分自身を大切にして、それから初めて他人のことを考えら...

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