第491章

手元の契約書を見つめながら、林田家の当主は満面の笑みを浮かべていた。

息子と娘、二人の子供に対して見事にバランスを取っている――と本人は思っているのだろう。

二人を褒め称えただけでなく、それぞれに贈り物まで与えていた。

もっとも、息子に与えられたのは会社の株式であり、林田安織が手にしたのは取るに足らないガラクタ同然の代物にすぎない。

林田承一は挑発的な視線を向けてきた。

「お父さん、ありがとう。やっぱり僕のことが一番可愛いんだね。でもお姉ちゃん、これからは二人で協力できるよ。今日会いに行った時、どうして他人のフリなんかしたの? 弟としてすごく悲しかったよ」

「何だと?」

林田当...

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