第515章

四つの瞳が見つめ合う。

彼のその瞳には、溢れんばかりの愛情と真摯な想いが宿っていた。

彼が本気で自分の全財産を譲ろうとしているのは明らかで、その誠意は痛いほど伝わってくる。

黒川綾は優しく微笑んだ。

「冗談よ。さあ、お家に帰りましょう」

車に乗り込むなり、水原拓真は待ちきれないとばかりに綾を強く抱き寄せた。情熱的な眼差しを向けながら喉仏を上下させ、微かに唇を震わせる。

「綾、怒らないでくれ……」

綾はふと戸惑い、彼の瞳に浮かぶ不安の色に気づいて、思わず視線を逸らした。

彼はこんな風になるべき人じゃない。いつだって自信に満ち溢れ、堂々としているはずなのに。

一体いつから、自分...

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