第565章

病院。

水原拓真は丸一日待ち続けたが、結局、黒川綾の姿を見ることはなく、踵を返して会社へと向かった。

彼はデスクを指先で軽く叩きながら、海外の状況について報告を求めた。

予想通りだった。林田月香はようやく身ごもった子供を、そう簡単に堕ろすつもりはないらしい。

コツ、コツと机を叩く音が、その場にいる者たちの心臓を直接叩き潰すかのように重く響く。

助手は恐る恐る口を開いた。

「向こうはかなりの数の警備を配置しております。これ以上こちらから接触を図るのは、少々骨が折れるかと存じます」

林田承一にしろ、水原雪乃にしろ、手回しよく大量のボディガードを雇い入れている。

とにかく、あの子供...

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