第576章

うるうると涙を浮かべる輝星の姿は、見ているだけで胸が痛む。

黒川綾は思わずその小さな体をきつく抱きしめたが、喉まで出かかった言葉をどうしても紡ぐことができなかった。

今日こうして輝星と向き合って座ったのは、すべてを包み隠さず話すためだった。いずれあの子が生まれれば、その立場は間違いなく輝星よりも上になるのだから。

何も知らないままその時を迎え、輝星がパニックに陥るくらいなら、前もって事実を伝え、心の準備をさせておいたほうがいい。

だが、この子がここまで深く傷つくとは思いもしなかった。

充血したその赤い瞳が、まるで鋭い刃のように彼女の心を突き刺す。

胸の奥から、ちくちくと無数の痛み...

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