第586章

バンッ。

扉が叩きつけられ、家じゅうが揺れるほどの音を立てた。

林田月香はびくりと肩を跳ねさせ、体を震わせる。悔しさがこみ上げ、唇を尖らせた。

別に大したことじゃない。ただ外の手を借りただけ。

それに、あの連中が誘拐犯だったとしても、自分には関係ない。互いに利用し合っているだけだ。

もし本当に誘拐犯で、輝星を海外へ連れていくとか、どこかへ運んで臓器を抜くとか――。

想像した瞬間、理由もなく背筋がひやりと冷え、全身が小刻みに震えた。

でも。

そのほうが、かえって後腐れがないのかもしれない。

妊娠してからというもの、神経が過敏になっていた。林田月香は、いつか輝星が腹の子の取り分...

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