第52章

桂原明が目覚まし時計で起こされた時、葉山風子はまだ眠っていた。彼女を起こすつもりも、朝食を作るつもりもなかった。昨夜、葉山風子は小説を書いていてきっと遅くまで起きていただろうから、もう少し寝かせておきたかったのだ。

桂原明は夜遅くまで起きていたうえに、一晩中悪夢にうなされていたため、今日は特に元気がなく、目の下には濃い隈ができていた。

「おはようございます、社長……うわっ、昨夜何をしていたんですか?」相澤俊は会社に着くなり、桂原明の憔悴した姿を見てしまった。

桂原明は大きくあくびをして、少し眠そうに言った。

「全部葉山風子のせいだよ」

桂原明は昨夜見た悪夢を思い出し、心の中で激しく...

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