第57章

「安藤さん、次のシーンは私たちの共演シーンですよね？」鷹羽山彦は笑顔を浮かべながら駆け寄ってきた。

彼は本来直接撮影現場へ向かったのだが、副監督から安藤貴美が監督のところにいると告げられたのだ。

「山彦！でも私はここでまだ少し用事があるので、少し遅れるかもしれません」安藤貴美は笑いながら言った。

高橋玲子は軽く眉を上げた。

この二人は流石に役者だな、この表情の切り替えの速さは中々のものだ。

言うまでもないが、高橋玲子はこの二人が普通に実力を発揮すれば、このドラマは問題なく成功するだろうと感じていた。

「大丈夫ですよ、安藤さん。私はお待ちできますから」鷹羽山彦の頬がたちまち赤く染ま...