CH111

ツネオ

美しい。

息を呑むほどに。

我がパイラ……。

パイラ……その名が、その言葉が脳裏に響き渡り、俺は瞬きをした。これまで考えたこともなかったが、それは光と炎、とりわけ「命を与える炎」を意味する古語だった。我々にとっては真の、癒やしの炎を意味する言葉だったか? タロフが妻をそう呼んだからこそ、癒やしを意味する言葉となったのだろうか? 伝承によれば、遥か昔に不死鳥が死んだ時、あらゆる命が冷え込み、消えかけたという。

ゆっくりと、彼女の体は漂い、岸辺へと流れ着いた。光が薄れ始める。その顔は穏やかで、安らかだった。俺は手を伸ばし、二人の間の空間を彷徨わせた。温かい波が俺を包み込む。彼女から発...

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