CH115

モルガン

私は頷き、ハルカがアーニャに向けて炎の波を送るのを見守った。アーニャは安堵の息を漏らし、ベッドに深く身を預ける。やがて、ゆっくりと、しかし確実に、アーニャの治癒が始まった。彼女の心を曇らせていた苦痛の影が晴れ始め、代わりに希望の光が差し込んでくる。包帯が発火し、血と共に炎の中で消失していく。私はその治癒の過程を、驚嘆の眼差しで見つめていた。

(私にもできるの?)

パイラがくすりと笑った。

『ハルカは我が力の欠片ほども行使しておらぬが、お主に教えることは多かろう』

(どうしてあなたが教えてくれないの?)

彼女は鼻を鳴らした。

『お主が、我と我が夫の邪魔をしているからだ』

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