CH250

ハヤト

私はため息をつき、広間に響き渡るケイジの声を耳にした。

「俺はこの国の王子だ! 継承者なんだぞ。試練だって受けた!」怒りに震えるその声は高まり、高い壁に反響した。「嘘だ! 父上は贔屓(ひいき)を正当化するための言い訳が欲しいだけだ。そんなものに騙されるとでも思ってるのか? いつだって、他の誰よりもあの人間の女とそのガキを優先してきたくせに!」

私は首を横に振った。「お前がそう感じるのは、お前の捉え方の問題だ、ケイジ。私もそれが真実でなければよかったと願っている。いつだってそう願ってきた。だが、事実は事実だ。お前は私の子ではない」

ケイジの目に涙が溢れた。彼は歯をむき出しにし、私...

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