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ハヤト

「僕が受けます」サノは震えが止まらないものの、躊躇なく言った。

「サノ、そこを退くんだ」

「いいえ」彼は言った。「母上があの人を愛していないことは知っています。たとえ血の繋がりがないとしても、強いられた決断のために母上が罰を受けるなんて、僕には耐えられません」

背後から、母親が震える手を彼の肩に置いた。「だめよ」彼女は優しく言い、彼を庇うように前に出た。「これは私が背負うべきもの。あなたの重荷ではないわ。心配することなんて何もないの、サノ。私を守らなくていい」

「受けると言ったはずです」手の震えとは裏腹に、その声は揺るぎなかった。「万に一つの可能性すらないと言うのですか?」

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