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モーガン

視線がかち合った。彼女の目には、諦める気配など微塵もないことが見て取れた。私たちは二人とも必死に立ち上がり、肩で荒い息をついた。周囲の空気は砕けた光を帯びて揺らめき、頭上の空は色彩と影が渦巻く塊となっていた。深い谷が私たちを取り囲み、そのギザギザとした岩壁は、死に絶えた巨大な獣の肋骨のようにそびえ立っている。

一体ここはどこなんだ? 前世の場所か? それとも、まだ見ぬ未来か?

私は再び光の方を見上げ、そこにある「門」と、自分が今まで歩いてきた小道を確認した。アンゾは口元の血をぬぐい、ニヤリと笑った。

「儀式なんて、そのまま失敗させておけばよかったのよ、モーガン。そのほうが、あ...

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