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ツネオ

目に散る火花を瞬きして追い払った。半秒ほど意識が飛んだ――その半秒が命取りだった。ユウマの拳が俺の腹にめり込み、肺から空気を叩き出した。俺は膝をつき、激しく咳き込みながら指を雪に突き立てた。手のひらが焼けるように冷たかったが、彼が追撃してくる前に無理やり体を起こした。

奴は速い。俺よりも、そして本来あり得る速度よりも遥かに速かった。風がまるで彼にだけ従うかのように周囲に渦巻き、舞い散る雪の中でその輪郭はただのブレにしか見えなかった。空気中に奴の敵意と殺気を感じたが、ここでユウマに殺されてやるつもりは毛頭ない。必要なのは時間だ。タロフが俺を見つけるか、あるいは俺自身が力を引き出す...

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