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ホタル

悲嘆に暮れるような息遣いがいくつか聞こえ、俺は奥歯を噛みしめた。奴らはすぐにでも「亀の街」へ移り住めばいいが、そう簡単にはいかない。リュウは忠誠心や富、彼が言うところの「街の品格」といったものに関し、街全体に一種の盟約を強いていたからだ。このパーティーを去るだけでも高い代償を払わされるだろうに、ましてやリュウの街から追放されるとなれば尚更だ。

「ナラを殴り殺せ」

ナラが弾かれたように顔を上げた。逃げようともがき、体をよじって暴れるが、リュウの手下たちは微動だにしない。アデルが恐怖に満ちた叫び声を上げた。そしてリュウ、あのクソ野郎は、まるで夕食の注文でもするかのような平然とした口調...

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