CH62

ツネオ

アリとは違い、この子供の瞳には何の打算も見えなかった。モーガンが近づいても、アリの背後に隠れようとしなかったその事実は、私の脳裏で警鐘を鳴り響かせた。ここには何か嘘がある。だが、その正体が何なのかは判然としなかった。その顔を見れば、彼がアリの血縁であることは明白だった。彼女の子であることに疑いの余地はない。だが……その表情や仕草には、母親に向けるべき子供らしい愛情が欠落していた。

彼にとって、アリは赤の他人とさほど変わらない存在のように見えた。

私は自己嫌悪に陥った。私の疑念はまったくの的外れだったのだ。たとえこの子がアリの企みの一部だとしても、子供自身に悪意があるとは限らない。...

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