第8章

美月視点

「あなた……全部、知っていたの?」

私は、必死に声を絞り出した。

「当然だ」

黒沢はそう言うと隠し部屋に入り、背後で重々しい音を立ててドアを閉めた。

「千葉未咲の家族を調査しないとでも思ったかね。苗字は違えど、君のその目は、姉と瓜二つだ」

彼は悪魔のように微笑み、私の顔に触れようと手を伸ばしてきたが、私は嫌悪感に身を引いた。

私の反応が面白かったらしく、彼は落ち着いた様子で近くのリカーキャビネットへ歩み寄り、自分にウイスキーを注ぐ。

「里奈が特捜局の人間で、君たちの計画についてもすべて知っていたよ」

彼は琥珀色の液体を一口含んだ。

「君たちがどこまでや...

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