第145章 ちょっと口が渇いていると感じる

 中島暁は渡辺千咲の目を直視できず、喉の渇きさえ覚えた。

 自分がつい先ほど、彼女のいた時空へ行っていたことなど、とてもではないが彼女に告げることはできなかった。

「少し暑いだけだ」中島暁は心にもないことを口にした。

 無意識のうちに、あの艶めかしい光景が脳裏に浮かび、中島暁は頭がぼうっとするのを感じた。

 これまで数々の任務をこなし、多くの女性と会ってきたが、誰一人として心に留めたことはなかった。

 渡辺千咲の紅潮した顔、立ち上る熱気、そして鼻先に残るかのような芳香が、彼の心に焼き付いて離れない。

 一幕、また一幕と、制御不能にその光景が脳裏に蘇る。

 彼は必死に自分を抑制し...

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