第172章 5分でダメになるのか?

「俺は気が短いんだ! 通報なんかしようと思うなよ。ホテル周辺はすべて俺たちが押さえている」

「もしお前らの中に通報した奴がいたら、そいつらが先に死ぬか、警察が先に死ぬか、見物だな」男の冷酷な声が館内放送から流れてきた。

 渡辺千咲はベランダにしゃがみ込んでいた。先ほどの光景はすべて目に焼き付いている。誰かが自分の情報を漏らし、小林沙夜が庇ってくれた。

 こんな状況下では、誰しもがまず自分を守ろうと考えるのが普通だろう。

 しかし、己の恐怖という本能を抑えつけてでも他人を守ろうとする者がいるのなら、その人は偉大で、信頼に値するに違いない。

 ホテルにチェックインした者は皆、情報を登録...

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