第187章 目覚める

渡辺信一は車椅子に座るお婆さんを見つめ、何とも言えない気持ちになった。

父親が生きていた頃は、家はここまでごたついていなかった。少なくとも父は公平に物事を扱ってくれていた。

「伯父さん一家はいつもああなのよ」渡辺千咲が低い声で言った。

「信一、来月はもう翔の家には行きたくないんだ」渡辺おばあさんは勇気を振り絞って言った。

「あんたんちの古い家に戻って、一人で暮らしたい」と渡辺おばあさんは続けた。

そう言ううちに涙がこぼれ落ち、震える手で涙を拭おうとするも、かえってみすぼらしく見え、食器を床に落としてしまった。

物音を聞きつけ、家政婦と介護士の人が急いで片付けにやってきた。

「お...

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