第194章 人心をまとめる

科学技術研究所には教授クラスの人物ばかりがいるが、このとき出勤できているのは若者ばかりだった。

六十代の国宝級教授ともなれば、長期にわたる栄養失調で、ほとんどが休憩室で休んでいる。

栗山暮は研究所にいる全員に煙草をひと箱ずつ配った。

笑っている相手に手は出せないというが、ましてや差し入れを持ってきた相手ならなおさらだ。

煙草というものは、基地では一本で一食分の食事と交換できることもある。

それを今、栗山暮は一人ひとりにひと箱もくれたのだ!

もともと彼を相手にしたがらなかった者たちも、今ではすぐに態度を一変させた。

「こ、これは煙草じゃないか! ずいぶん久しぶりに見たぜ、こんなも...

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