第219章 一秒でもためらうのは不敬

 中年女性はやつれ果て、地面に跪いて懇願するような姿を見せている。

 哀れな者には、必ず憎むべき点があるものだ。

「失せろ」

 渡辺千咲は、中島暁が怒りを露わにするのを滅多に見たことがなかった。

 彼の顔色は瞬く間に険しくなり、嵐が訪れる直前のような雰囲気を纏う。

 渡辺千咲は、すぐにはこの女性に同情しなかった。

 終末世界で彼女が最初に学んだことは、誰に対しても安易に善意を抱いてはならないということだ。

 ましてや、中島暁がこれほどまでに嫌悪している相手ならなおさらだ。

 渡辺千咲はぐるりと見回す。ここはコンビニで、周囲の棚はとっくに略奪され尽くし、何も残っていない。

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