第226章 服を切ってあげる

「彼に体質強化液を飲ませて、止血剤も、アドレナリンも注射したわ。他に何かある?」

「彼を死なせるわけにはいかない」

渡辺千咲は裕斗のことがとても心配だった。危険に遭遇した時、彼女を逃がすために命懸けで守ってくれた少年。

彼はまだ十八歳。彼を待っているおばあさんもいるのだ。

渡辺千咲が振り返ると、中島暁がいた。

彼は淡々とした表情で、伏し目がちにしているため、その眼差しの奥にある感情は読み取れない。

彼は彼女を見つめていた。その眼の奥で何かの感情が渦巻き、喉の奥に微かな苦みが広がっていくのを感じていた。

「見せてくれ」

その言葉を聞くと、渡辺千咲は中島暁の手を引いて、慌てて瀬川...

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