第29章 2億が入金

 祖母は何も言わず、ただ首を横に振るだけだった。

 今は午後三時頃。渡辺千咲はもう我慢できずに、手にした一箱のコンク真珠を売りに行こうとしていた。

 彼女はすでにネットで真藤町の質屋を調べていたが、まずは宝石店を訪れ、買取価格を尋ねてみることにした。

 比較検討した結果、彼女は宝石店を選んだ。

 先ほども一度訪れていたので、受付の店員は渡辺千咲に対して依然として親切だった。なにしろ、一箱ものコンク真珠を持ち出せるような人物なのだから、家の懐事情もきっと良いのだろう。

「さっきの値段で売ります」

 渡辺千咲は言った。比べてみると、やはり宝石店のほうが買取価格は高かった。

「かしこ...

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