第302章 光の味

「赤雨城の黒いローブよ。そう、あの時も私に取り憑こうとしたの。でも、私の精神力が強かったから、取り憑けなくて、ずっと私を苦しめていた」

その言葉に、渡辺千咲の瞳は痛ましげに揺れ、声も無意識のうちに和らいでいた。

「渡辺陽……お母さんが悪かったわ」

「これからはもう、あなたにこんな苦労はさせないから」

彼女は必ず変わってみせる。

渡辺陽は首を横に振った。彼がこの世界に来たのは必然だったのだ。

彼は渡辺千咲がこの話をし続けるのを望まず、話題を変えた。

「母さん、あの黒いローブが、こいつら怪物なんじゃないかって疑ってるの?」

「ただの推測よ……だって、少し似ているもの」

渡辺千咲...

ログインして続きを読む