第306章 銀色の渦が閉じる

渡辺千咲と中島暁が去っていく。彼らの時空へと帰るのだ。

こちらの時空は、二人に対して閉じられようとしていた。

「渡辺陽、この食料と物資は全部あなたたちに残していくわ」

「絶対に、ちゃんと生き延びるのよ」

「母さん、僕はいつも母さんのそばにいるよ!」

渡辺陽は懸命に微笑んだ。幼い頃の渡辺陽は、今も渡辺千咲のそばにいるのだから。

中島暁と渡辺千咲の背後に渦が現れ、二人は空間に吸い込まれた。その銀色の渦もまた閉じていき、一粒の銀色の星へと変わる。

ただ、それはもはや瞬くことなく、どこか薄暗く見えた。

この旅は、どこかわけがわからないものだった。

渡辺千咲は、言いようのない辛さを胸...

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