第309章 破片を吸収する

 渡辺千咲は寝室に戻った。小さな民宿ではあるが、全体的に清潔で、部屋の中も比較的暖かい。

 渡辺千咲が荷物を置こうとした矢先、また夏目江がやって来た。

「お一人で旅行されているようですから、退屈されているかと思いまして。どこか行きたい場所があれば、ご案内しますよ」

 渡辺千咲は微かに眉をひそめた。彼女は一人でいたかったし、邪魔されたくなかった。「結構です、ありがとうございます」

「失恋でもされたんじゃないですか。道中ずっと落ち込んでいるようでしたし。うちのツアー、今回たまたまカップルばかりですしね。お客様ですので、遊び相手のサービスも提供できますよ」

「……」

 渡辺千咲の口元が...

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