第332章 渡辺陽の異能は脳

煙町はL国にある沿岸都市で、かつて中島利里たちが脱出した場所でもある。

この街の半分はすでに海水に飲み込まれていた。

中島暁たちは飛行機からフライングバックパックを装着し、十数階建ての廃ビルへと降り立った。

「陽くんは眠ってるんですか、それとも気絶してるんですか?中島さん、そんなふうに晶珠をあげて大丈夫なんですか?」

小川思が緊張した面持ちで尋ねた。彼は速度型の能力者で、普段から渡辺陽の面倒を見ることが多く、この数日で情が移っていた。

「問題ない」

中島暁は腕の中の渡辺陽を見つめる。まだ一歳を過ぎたばかりだが、晶珠で異能が発現することはなかったものの、言葉はすっかり流暢になってい...

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