第421章 信仰の力

小林沙夜は舞を踊りながら、心の中で必死に渡辺千咲を呼び続けていた。

『従姉さん、従姉さん、早く来て!』

 一曲の舞が終わり、小林沙夜は優雅に動きを止めた。どうやってスピーチをして時間を稼ぐか、すでに考えはまとまっている。

 地下にいる族長と長老たちは、生きた人間を贄にしなかったせいで月神を招けなかったのではないかと、少し心配していた。

 なんと言っても、生贄の儀式に生きた人間を用いるのは、すでに深く根付いた常識なのだ。

 生命こそが最も貴重なものであり、自らの生命を捧げることによってのみ、神の祝福を得られる可能性があるのだと。

 族の長老が生贄の話を切り出そうとした、その時だった...

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