第6章

明日香視点

一ヶ月が過ぎた。

政司は最高の医者を呼び、最も穏やかな方法で私の薬物依存からの離脱を手伝ってくれた。時折、軽い離脱症状に襲われることはあったけれど、以前耐えてきた生き地獄に比べれば、ここは天国だった。

私たちの関係も、以前ほど敵対的なものではなくなっていた。今では少なくとも部屋からを出て、街で歩き回ることはできる。もちろん、その「自由」とは名ばかりのもので、政司がつけた二人の護衛が影のように付きまとってはいたが。

しかし、伊織の脅威は、常に私の頭上に重くのしかかっていた。

自分の過去がいかに汚れているかを政司に知られたくない。けれど、彼のもとを完全に離れるこ...

ログインして続きを読む