第116章

四十分後。桐谷憂は床に倒れ込み、見る影もなく疲れ果てた空見灯にタオルを差し出した。

「運動不足だな。もうへばったのか?」

「わ、私……」

空見灯は息も絶え絶えで、言葉を継ぐことができず、ただ力なく手を振った。

ボクシングがこれほど過酷だとは、夢にも思わなかったのだ。

体力にはそれなりに自信があり、普段からヨガやジョギングも欠かしていない。

だが、ボクシングに求められるのは瞬発力だ。最初はついていけたものの、四十分間ひたすら拳を振るい続けた今、両腕は鉛のように重く、自分の体の一部だとはとても思えなかった。

「床は冷えるぞ」

桐谷憂は彼女を軽々と横抱きにした。空見灯は反射的に身を...

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