第124章

空見灯と桐谷憂が慌ただしく病院に駆けつけたとき、花邑栞はすでに救急救命室を出ていた。

「花邑栞さんのご家族の方ですか? 担当医の霧島綾人です」

 中年男性が空見灯の方へ歩み寄ってくる。その表情は異常なほど深刻だった。

「脳に腫瘍が見つかりました。おそらく、かなり長い期間放置されていたと思われます。これまでに健康診断などは受けていなかったのですか?」

「腫瘍……ですか?」

 空見灯は呆然と呟いた。

「検査報告書を見せていただけますか」

「執務室へ来てください」

 霧島綾人は二人を執務室へと案内しながら、何気ない様子で桐谷憂を一瞥した。

「こちらの方は?」

「私の夫です」

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