第126章

鍼治療が終わったのは、それから一時間後のことだった。

桐谷大正の容体が安定したのを見届け、空見灯はようやく安堵の息を吐く。ひとまずこれで、彼の命は少しばかり永らえるだろう。

空見灯は寝室を出ると、襲い来る脱力感に身を任せ、壁に背を預けた。

ドアの前のソファでは、桐谷憂が書類に目を通していた。彼女が出てきたのに気づくと、慌てて駆け寄ってくる。「大丈夫か?」

空見灯は言葉を発する気力もなく、ただ手を振って応えた。頭を壁にもたせかけたまま、目を閉じる。

しばらくして、ようやく呼吸が整った。「……先に部屋に戻って休むわ」

彼女は隣の寝室へと足を向け、桐谷憂もその後を追った。今回ばかりは彼...

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