第139章

確かにその時、空見灯には電話に出る時間など残されていなかった。

本来であれば唐沢雪優を訪ね、その足で賃貸物件を探すつもりだったのだが、道中で成田響からの急報を受け、慌てて病院へと駆けつけたのだ。

徳川命の容体は、鍼治療のおかげで劇的に好転していたはずだった。

しかし、今日の食事にピーナッツペーストが混入していたのが運の尽きだった。徳川命は重度のピーナッツアレルギーを持っており、ほんのわずかな摂取量でアナフィラキシーショックを引き起こし、再び心停止に陥ったのである。

不幸中の幸いと言うべきか、空見灯が病院からさほど離れていない場所にいたため、第一報を受けて即座に駆けつけることができた。...

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