第169章

電話を切り、空見灯は心を落ち着かせた。

最近、桐谷憂には確かに助けられてばかりだ。食事を一回ご馳走するくらい、何の意味もない。ただの礼儀だ。

そう自分に言い聞かせると、彼女は再び忙しない仕事の波へと身を投じた。

桐谷憂も同様に多忙を極めており、結局二人が落ち合って夜食をとれるのは、夜の十時半という遅い時間になった。

仕事を片付け終えた頃には、既に時計の針は十時を回ろうとしていた。空見灯は小さく欠伸を噛み殺し、荷物をまとめて帰宅の準備を始めた。

立ち上がったその時、ドアの外に目を赤く腫らした青葉風香が立っているのが目に入った。

源静流が困り果てた様子でドアを開け、顔を覗かせる。

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