第173章

空見灯は、全速力でトラックから飛び出した。自分がどうなろうと構わない。彼女の胸中を占めるのは、ただ一つの念(おも)いだけだった――桐谷憂を、絶対に死なせてはならない!

もつれた足で転びそうになった瞬間、桐谷憂の腕が彼女を強く抱き留めた。

「俺は無事だ」

「動くな! 武器を捨てろ!」

「警察だ! 武器を捨てて両手を頭の後ろに組め!」

「桐谷社長! 空見さん!」

霧島征十郎が部下を引き連れ、猛然と駆け寄ってくる。

その時ようやく、空見灯は地面に倒れ伏す永瀬誠の姿を認めた。右肩を撃ち抜かれ、拳銃はすでに手から滑り落ちている。

「永瀬睦はモーターボートだ」桐谷憂が低い声で告げた。

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