第174章

「目が覚めた? どこか具合の悪いところはない?」

空見灯は無意識のうちに、桐谷憂の手首へ指を添えていた。

力強い脈動を感じ取り、空見灯は安堵の息を吐く。

「よかった。ほとんどが外傷ね。でも安静が必要よ。仕事なんてしてる場合じゃないわ」

この三日間、彼が何を経験したのかは知らない。だが脈を見る限り、休息が必要なのは明らかだった。

「俺が休んだら、あとはヒロイン様にお任せってことか?」

桐谷憂は笑みを浮かべて彼女を見た。

先ほどの言葉を聞かれていたのだ。いつも穏やかな空見灯が、あんな激しい口調になるとは思わなかったのだろう。

空見灯は唇を尖らせた。

「茶化さないで。私はあなたの...

ログインして続きを読む