第178章

甘やかされて育った空見睦月にとって、これほどの屈辱は生まれて初めてだった。彼は怒りに任せ、猛然と桐谷憂に躍りかかった。

彼は桐谷憂の正体を知らない。だが、桐谷憂の身分を知る二人の警察官が即座に立ちはだかり、彼を死に物狂いで取り押さえた。

それでも彼は暴れ続け、喚き散らす。

「警備員風情が! お前のせいで俺の家はめちゃくちゃだ! 全部お前のせいだぞ! 姉貴が金持ちになったからって離婚したくないだけだろ、ふざけんな!」

「空見家の財産は全部俺のもんだ! 空見灯は俺の姉貴だ、あの女の金も会社も全部俺のもんだよ! お前みたいな臭い警備員に一円だって渡すかよ!」

「いい加減にして!」空見灯の...

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